自分の作品をなんとか描き上げて、さてこれからどこの出版社に持ち込もうか?
- どこなら掲載されやすいのか?
- どこならデビューしやすいのか?
など、色んな事を考えますが実際どこが自分の作品には合っているのかが分からず悩んでる人が多いですね。
私なりの個人的な選び方が参考になれば幸いです。
そして直接会えたときに、編集さんからよく言われる代表的なダメ出しも解説しておきました。
予めある程度分かっていれば、少しは気も楽になるはずです。
Contents
漫画の持ち込み先の選び方3つと編集からよく言われるダメ出し5つ
持ち込むと編集から言われること・・・
1,画力が足りていない
2,キャラが立っていない
3,ストーリーが面白くない
4,何が言いたいのか分からない
5,年齢がいきすぎている
まぁ、こんなことはよく言われます。
初っぱなからこれ全部クリアしてる人なんてそういません(笑)
1,画力が足りていない
まったく気にせずに描きまくってたらいいです、そのうち勝手に上手くなっていきます。
画力って何?
よく、ヘタウマとかいわれる絵がありますが、あれはその通りで下手だけど上手いんです。
(笑)
矛盾してますが、一見ぱっと見は下手な絵なんですが、読み進めていくうちに気にならなくなり最後の方まで読んだころには、この漫画はこの絵じゃなきゃダメだくらいの気持ちになることがあります。
それは、心地いい下手さというか(^_^;
人を不愉快にさせない下手さ加減なんですよね。
これはやろうとしてやれる世界ではなく、その人が持って生まれたものとでもいいますか。
その人もわざとヘタウマで描いてるわけではないということです。
筆跡のようなものですね。真似できない世界です。
器用な人というのは、どんどん描いてるうちに上達していきます。
どんな絵だって描けてしまいます。
かえってこういう人は、上手すぎて埋もれてしまう危険性もあるんですね。
絵の上手い人というのはそれこそ五万といます、絵が上手いから漫画家になれるのか?
というと、そうでもないところが漫画の世界の難しさじゃないでしょうか?
2,キャラが立っていない
一言でいえば、魅力に欠けるということです。
そもそもキャラ設定があやふやな場合に、ぼやけた魅力に欠けるキャラになりがちです。
優柔不断なキャラだろうが、勇気百倍元気いっぱいなキャラだろうが、感情が希薄なキャラだろうが最初の設定を決めていないと途中からぶれていきます。
ぶれまくるキャラならぶれまくるという設定がいるわけです。
キャラは生きているんだということですね。
生きているという事は、様々な感情や思考回路やクセや性格や素質が出てこないとロボットになってしまいます。
ターミネーター(ロボット)でさえ、成長し感情を持ったキャラとして描かれていました。
「魅力って何だろう?」
-と、自分なりに掘り下げてみてください。
- あなたはどんな人が好きですか?
- あなたが泣いた時ってどんなときですか?
- あなたが恋した人ってどんな人でしたか?
- あなたが殺したくなるほどの人ってどんな人でしたか?
- あなたが焼きもちを焼いた相手ってどんな人でしたか?
- あなたが尊敬する人ってどんな人ですか?
- あなたが軽蔑する人ってどんな人ですか・・・・
・・・etc
こうやって、リストアップしてイメージを膨らませていくと、嫌なキャラ、素敵なキャラ、軽薄なキャラ、尊敬するキャラ・・・どんどん浮かんできませんか?
ストーリーが面白くない
なにもスートーリーテラーになれと言っているのではなく、心に何か響くものが欲しいということです。
非常に難しいことは解っていますが、最低でも「あなた自信が面白い」と思うもので無ければ伝わりません。
才能がある人、例えば小説家で言えば故星新一さんなどのショートショートは、ストーリーの基本がギッシリ詰まっています。
ネタ勝負的なところがあるので、そこそこの才能がないと息切れしてしまう可能性が高いです。
一番やりやすいおすすめは、あなたの実体験です。
そこをベースにして膨らませていきます。
「例」
あなたがもし以前コンビニとかスーパーなどでアルバイトをした経験があるとしたら、それをベースにします。
少なくともバイトに関する情景は経験してるわけですから、具体性(リアリティ)は表現できますよね。
あなたが憧れている好きな女子生徒がいたとします。
でも片思いです、勝手に彼女の想像をしまくっています(笑)
想像はどんどん自分の理想に近づけていきます、妄想というレベルでしょうか?
あなたはいつもアルバイトをしながら、彼女の事が頭から離れないくらい好きです。
そんな彼女がある日あなたのバイト先へ買い物にやってきて、あなたは思わず身を隠してしまいます。
するとあなたは彼女が万引きをするところを見てしまいます・・・。
それまでのあなたの彼女に対する純粋で美しいイメージは崩壊します。
※(続きは、どんどん感情を膨らませ絡ませストーリーを展開していきます。)
と言った具合にあなた自身の実体験をベースにして物語を構築していけば、リアルなストーリーが出来るでしょう。
よく、「映画たくさん観て、漫画や小説をたくさん読んでください」といいますが、ハッキリ言ってほとんど役に立ちません。(観るなという事ではありません、もちろん観た方がいいんですが・・・)
もちろん泣いたり感動したりしてもいいんですが、それが直接自分の世界観の何かに役に立つのかというと微妙です。
ただしテクニックは学べます、構成や見せ方などの小手先のことはどんどん盗めばいいと思います。
やはり、実体験の感情をストレートに出したものは訴えかけてくるものが違います。
福満先生の「僕の小規模な生活」などはバトルなどとは無縁の漫画ですが、リアリティが凄いです。
現実感というか生々しい感情がヒシヒシと伝わってきます。
何が言いたいのか分からない
一言でいえば、テーマがはっきりしていないということです。
あなたがなぜその話を描きたくなったのか?漠然とただ“面白いと思ったから”では、弱いです。
例えば3で説明したような実体験を元に描いたのであれば、そこには描きたくなったあなたの感情があったはずです。
その感情を分析してみてください、「なんで俺コレが描きたかったんだろう?」
表現者は必ず【見てくれ、ほら見てみて俺の作品!!】という感情がなければ描こうとすらしないはずです。
3であげた例の「彼女」はなぜ万引きをしたのか?
- そういう悪い子だったのか?
- 心の穴を埋めようと無意識だったのか?
- 誰かに強要されたのか?
- たんに寂しさから誰かに叱って欲しかったのか?
- 何かの腹いせだったのか?
- ・・・etc
そこから見えてくるものがあなたの中にあったから、描いたわけです。
芯がぶれると、一体何が言いたい漫画なのかが分かりづらくなり読者へ伝わりにくくなります。
以下のように大きなカテゴリーに別けて考えるといいでしょう。
- 友情⇒仲間、助け合い、裏切り、腐れ縁・・・女性同士は?
- 努力⇒報われる、報われない、嫌々するもの、目標がある・なし、達成した後は?・・・
- 根性⇒何のために、誰のため、自分に有るのか、ない、ある、欲しい、古くさい・・・
- 人情⇒何それ、ださい、素敵、感動、涙、嬉しい、うざい、めんどくさい・・・
- 愛情⇒ってなにそれ、一杯、潰される、与える、もらう、必用?、なぜ?、意味、試したい・・・
- 偏見⇒差別、固定観念・・・・
- ~
- 差別⇒・・・・
- 恋・恋愛⇒・・・
- etc
マインドマップなどを使うと全体を俯瞰して分かりやすくなります。
freemindというアプリは無料で手に入るのでぜひ使ってみてください。
こんな風にどんどんマインドマップなどを使い派生させていきます。
すると、あなたにとって重要なポイントがフワッと浮かんできませんか?
「あー、そうだった僕は○○を読者に伝えたかったんだ!」
と・・・。
これが最初にハッキリしていないと、たんなる思いつきばかりで、行き当たりばったりのストーリーになってしまい奇をてらった展開に終始し・・・いつかは行き詰まってしまいます。
江○寿史先生は天才タイプなので大好きだったんですが、よく連載途中で終わる事もありました。
かなり思いつきだけで突っ走るタイプなのかなと(^_^;
たしか「door」とかいう作品を楽しみに読んでたんですが、尻切れトンボで終わりました。
このテーマ(伝えたい事)が決まらないうちから、ネーム作成には入れない事を覚えておきましょう。
持ち込み先の3つの選び方
- 自分が一番好きな雑誌へ持ち込む
- 自分の作風に合ったところに持ち込む
- 手当たり次第持ち込む
そして、「一度お会いしませんかと向こうから言わせる」ことも視野に。後ほど解説します。
パッと思いついた感じではこんなところですね。では具体的に説明していきましょう。
自分が一番好きな雑誌へ持ち込む
一番好きな雑誌の一つや二つはあるはずですよね、好きな雑誌に連載している作家さんに憧れて自分も描き始めたという人もいるでしょう。
ただし、いくら好きな雑誌だからといってその雑誌のカラーにまったく合っていない作品という人は、2へ行くしかないですよね。
自分の作風に合ったところに持ち込む
好きな雑誌はあるけど、自分の描くものは全く世界観もキャラも絵柄もストーリーも合わないなと思ってる人は、消去法で一番合ってそうな残った所へ持ち込むしかないです。
当たり前と言えば当たり前ですしもっともまともな選択方法でしょう。
それでもどうしても自分の作風に合ったところが見つからないと言う人もいるでしょう。
その時点であなたの作品は、かなり独創的で個性的なのかも知れません。
または、出版社が欲しい今時の流れから離れている・・・。
- 良く言えば個性的
- 悪く言えば自己満
しかしながら、そういった一風変わったというか、新しい風を取りいれたいという雑誌も実は結構あるものです。
その場合は自分の殻を破る意味でも、考えもしなかった雑誌へ持ち込むなどチャレンジしてみるのも面白いです。
つまりもう何も考えずに・・・3へ
↓
手当たり次第持ち込む
なんだったら、五十音順に片っ端から持ち込んでみるとか、好きな雑誌から順番で持って行く。
ついでに受付嬢のランキングや編集の態度やアドバイスの仕方・内容など事細かにチェックし、それ自体をネタにするくらいの遊び心があったほうがいいです。(笑)
「そもそも、なぜ持ち込むのか?を考えよう」
なぜあなたは持ち込みたいのか?
まさか、いきなり掲載してもらおうなんて思ってませんよね。思ってたとしても99%は無理だと思います。
あなたがよほどの天才なら可能かも知れませんが、もし仮に天才なら一番好きなところで一発掲載されているはずですからね。
どこがいいかなんて悩む必用がそもそもないんですから。
ほとんどの人は、やはりプロの編集さんの意見やアドバイスが欲しいからです。
どんなに全力を出し切って描いた作品だとしても、あなたの1年先の未来の自分、2年先の未来の自分、5年先の未来の自分が未来から今のあなたを見た時・・・ 「なんて未熟なんだ、当時はこんなの平気でよくもまぁ描いてたもんだよ・・・」なんてふうに思うはずなんです。
人は継続してる限り必ず成長します、成長する度合いは人それぞれ個人差はありますが、必ず今のあなたより数年頑張った自分の方が腕は上なんです。
ということは、今の自分は未熟だということです。
小学校の時描いた絵がまだ引き出しに入っていたら、見てください。
今のあなたの方が遙かに上達しているはずです。
でも、もっと上達する可能性は秘めています、が不思議ですがそれがどういったものなのかは自分では見つけにくいものなんですよね。
そこを第三者の目からアドバイスしてくれるのが、編集者さんです。
彼らの見る目は確かですが、固定観念もそこそこ固まっているのも確かです。
そこで、手当たり次第雑誌をまわって、できるだけ大勢の編集さんから沢山の意見やアドバイスを聞く事をおすすめします。
そのアドバイスの中から重複項目がいくつかあれば、誰から見てもそれがあなたの弱点という事がいえます。
言い換えればそこの部分をクリアしたら、伸びるよということです。
一度お会いしませんかと向こうから言わせる
編集部は常に新しい才能を求めています、忙しいながらも必ずアンテナは張っています。
どこかに面白そうなやつはいないかなと、探しています。
つまりウェブ上にUPされている無名の新人さんの作品など、まめにチェックする人はします。
無料で漫画を載せてくれるところはいくらでもありますから、自分で好きなところを探しコツコツとUPしていきましょう。
おすすめはコメントや感想や意見などを書き込んでくれるようなサイトがいいですね、ニコニコなんかは辛辣なコメントも入るかも知れませんが、正直な気持ちですからありがたく受け入れスキルアップに繋げたらいいんです。
何十本かUPしてるうちに、もし人気が出始めたら編集サイドからコンタクトがあるかもしれません。
「一度お会いして、お話しを・・・・」
という流れが、自然というか理想だと思いませんか?
そういう所で人気が出ないのであれば、多くのプロ達が全力を出して描いている商業誌に連載なんてまず無理ですから。
最後に年齢の事を時々言ってくる編集がいますがそれについて少し・・・
年齢がいきすぎている
私事ですが、メジャー誌に持ち込みに行った時、初っぱなに「24歳か~・・・」と呟かれました(汗
少年誌ですから、そこはやはり若い感性・将来性・伸びしろ・可能性・・・などを総合的に見た時、やはりこのレベルの漫画では売れるまで、いや売れなかったら将来に響くだろうという気持ちから呟かれたんだと思います。
でも、ハッキリ言って年齢は気にしなくて大丈夫です。
30代40代、中には50代でデビューなんて人もいます。(その後活躍したかどうかは別として)
そしてその年代でなければ描けない世界というものも必ずあります。
「一番大切な事は・・・」
年齢を気にするのではなく「あなたの情熱が冷めていないかどうか」これに尽きます。
冷めたのならやめた方がいいです、最初の頃、時間も忘れ食事を取る事も忘れ無我夢中で描いていた頃のような情熱がなくなったと感じた時、・・・考えましょう。
コレは何も漫画に限った話ではなく、全てに言える事だと思います。
今燃えている若い人がたくさんいると思いますが、死ぬまで同じ情熱を注げる人ってそういません。
だんだん炎は弱くなっていくものだと思います、だから編集さんは「24歳か~」と年齢の事を呟いたのかも。
私はもの凄い飽き性な性格なので、広く浅くという生き方です^^;
言い換えたら、「中途半端」ってことです。
ま、色んなタイプの人がいていいと思います。
持ち込みと投稿のメリット・デメリット
<持ち込みのメリット>
- 直接プロのアドバイスや意見を聞ける。(一度は経験するべし)
- 指標が明確になるのでスキルアップ・レベルアップしやすい。
- 思いもつかなかったアイディアをもらえる場合がある。
- たまに昼ご飯などご馳走してもらえる。
- アシスタントの仕事を紹介してもらえることがある。
- 次からネームの段階でも見てもらえるので、無駄な作業をしなくてすむ。
<持ち込みのデメリット>
- 遠方の人は交通費や宿泊費などお金と時間がかかるし、色々と面倒。
- ボロクソに言われる可能性はあるので覚悟をしておこう。
- 編集者によっては好みの違いもあるので、意見やアドバイスが別れる場合がある。
- 編集者はビジネスマンです、売ってナンボの世界で生きています。漫画に芸術性は求めていない。
- 固定観念に囚われていて先見性・本質を見抜けない編集もたまにいる。
カイジの福本先生や進撃の巨人の諫山先生、柴門ふみ先生もだったかな?この人達に絵が下手だの何だのとダメ出しをし採用しなかった編集さんはその後、悔し涙を流したと思いますよ。
なので、ダメ出しを食らってもあまり気にしないで、それをバネに頑張ればいいのではないでしょうか。
<投稿のメリット>
- 持ち込みは大体一人の編集者が担当し見てくれる事が多いが、投稿は複数の目に止まりやすい。
- 手間と時間と金の負担が持ち込みに比べ遙かに少ない。(その分作業にあてられる)
- コピーやデータなら一斉に送れる。(複数に送る事を嫌うところもあるが・・・)
<投稿のデメリット>
- アドバイスがまったく聞けない、どこを直せばいいのか指針がないので間違った方向のまま進む可能性も。
- 編集との繋がりが希薄
最後に
東京見物しながら、ついでに写真撮りまくって取材しまくって東京を楽しんで帰ればいいんです。
それ自体が素敵な実体験じゃないですか。
ショートの1本くらいすぐ描けちゃいますね。
意外とそういう肩の力を抜いたものが評価されたりするものです、チャンスはどこからやってくるか分かりません。
とにかく漫画家の世界は全て(人生)がネタです。
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