【漫画の描き方 資料編】Googleストリートビューなどは使える?

漫画を描く場合資料は無くてはならないものです。

重厚なストーリー漫画なのに背景がスカスカだと、読者からは手抜き漫画のように思われても仕方ありませんよね。

   

やはりある程度は背景(バック)は必用です。でもそこで困るのが資料集めです。

今回は時短のための資料集めのやり方をご紹介します。

 

漫画の描き方、資料編「Googleストリートビューなどは使える?」

その前に基本的な著作権などのことを理解しておいた方がいいです。

 

著作権について

ではどういった場合に著作権侵害になるのでしょうか?

   

個人の趣味などのためだけに使用する場合・・・

例えばあなたが他人の写真や絵などを参考にしてトレースや模写をしたりしたとします。(インターネット上にアップロードするなど、第三者への公開はしていない。)

この段階で著作権を侵害したことになるのでしょうか?

これは大丈夫です。

「私的使用のための複製(著作権法第30条)」に当たり著作権法に定められた範囲の中での使用になるので問題ありません。

   

「私的使用のための複製(著作権法第30条)」

「自分自身や家族など限られた範囲内で利用するために著作物を複製することができる。 ただし、デジタル方式の録音・録画機器等を用いて著作物を複製する場合には、著作権者に対し補償金の支払いが必要。 コピープロテクション等技術的保護手段の回避装置などを使って行う複製については、私的複製でも著作権者の許諾が必要。 私的使用目的の複製であっても、違法著作物であることを知りながら音楽又は映像をインターネット上からダウンロードする行為は、権利制限の対象から除外される。」著作権情報センター

なので個人で楽しんだり勉強するだけならOKということですね。

でもインターネットなどにトレース、模写した作品を自分のホームページやSNSにアップロードする行為は第三者の目に触れてしまうためNGになります。

当然漫画雑誌も同じです。

訴えられた実例もあります、後ほど紹介します。

   

   

さて、ややこしいのがオリジナル性を持たせたらいいんじゃないのか?という問題です。

気に入った写真や絵を元に自分なりに手を加えて変化させた場合、オリジナル性を出したから大丈夫!・・・というわけでもありません。

それを見たオリジナル作者(著作者)がどう思うか?を考えてください。

これは俗に言う親告罪で著作者が訴えることもできますし、見逃してくれることもできます。

なので限りなく黒に近いグレーといったところです。(厳密にはNG)

   

   

なので資料は自分で集めるに超したことはありませんが、それでも落とし穴はあります。

後ほどそのこともお伝えしますね。

   

実際に問題になった事例

私がまだアシスタントをやっていた頃、とある大御所漫画家が描いた背景が著作権侵害で問題になったことがありました。

その漫画家さんというのが”池上遼一先生”です。

   

「信長」(作:工藤 かずや/画:池上 遼一)は、1986 ~ 1990 年に小学館「ビッグコミックオリジナル増刊」「ビッグコミックスペリオール」に連載された作品です(「ビッグコミックスペリオール」創刊に合わせて、第 9 回から掲載誌移動)。
単行本は第 7 巻まで刊行されましたが、絶版・既刊回収騒動があって、最終回までの 9 話分が収録されるはずだった第 8 巻は発売されませんでした。
これは、「池上さんの作画(新府城と安土城)が、資料とした写真の著作権を侵害している」とされたためです。

http://serifugyakuyunyuu.com/lines/keaton/army/nobunaga.html

   池上先生の漫画は非常に精細でリアルです、おそらく資料をそのまんまトレースしたのでしょう。

 

本当はその著作者及び出版社などに使用許諾を得ていれば、なんの問題もなかったんでしょうが無断で複製したのでNGとなったわけです。

なので、著作権侵害にならないように注意しましょう。

   

ストリートビューは漫画に使っても大丈夫?

Googleの規約はこのようになっています↓

   

基本的に、Google の利用規約に従い、権利帰属が明確に表示されていれば、用途に応じて、Google マップ、Google Earth、ストリートビューの画像を自由にお使いいただけます。

   

さらに

使用目的

使用可能 / 不可能

追加情報

書籍

可能

配布数が 5,000 枚以内であり、Google のコンテンツをガイドブックで使用しない限り、数枚の画像を使用するのは問題ありません。

定期刊行物

可能

新聞、雑誌、ジャーナルなど。

レポートとプレゼンテーション

可能

調査報告書、社内レポート、プレゼンテーション、提案書、その他のビジネス文書など。

ガイドブック

不可能

道案内を目的とする印刷物(旅行ガイドなど)の主要要素として、Google のコンテンツを使用することはできません。

物品

不可能

商品や商品パッケージなど(例: T シャツ、ビーチタオル、シャワー カーテン、マグカップ、ポスター、文房具)。

印刷広告

不可能

デジタル媒体やテレビでの使用については、広告セクションをご覧ください。

   

ただし、漫画用にトレースしてもいいよとはどこにも明記されていません。

詳しくはこちらからGoogleの規約へ

   

ストリートビュー画像の使用

お客様のプロジェクトでストリートビュー画像をお使いになる場合は、まず、このページの冒頭にある一般的なガイドラインをお読みになり、特に権利帰属表示に関する規約にご留意ください。

ストリートビュー画像を使用するときは、次のいずれかの方法で取り込んでください。

Google マップの HTML と URL を使用して、ウェブサイトに画像を埋め込みます(またはリンクします)。
Google Maps API から直接画像を取り込みます。Google マップ / Google Earth API 利用規約に従ってください。
上記の方法で画像を取り込んでいただくと、Google がユーザーの要求に応じて画像を編集または削除した場合、それらの変更が現在のプロジェクトにも反映されます。

これらのガイドラインに沿っていない場合でも、ストリートビューの画像を非商用の学術目的で使用する場合は、申請していただくことができます。使用許諾を申請するプロジェクトの詳細を記載のうえ、streetview-academic@google.com にご連絡ください。

 

 

つまり・・・いまいちよく分かりません(^_^;

個人的にはグレーな気もしますし、大丈夫なようなきもします・・・。

   

なので、参考にするという立場で活用してはどうでしょう。

正直、ここだけの話ですがストリートビューは人の目線の高さなので自分がその場所で撮った写真と見た目的には変わらないんですよね。

   

何がいいたいのかは察してみてくださいw

ですので、きっちりトレースしそのまんま使うのではなく”あたりをとる”程度・・・

参考に使わせて頂く。というスタンスがいいでしょう。

それでも時間がないとき、遠方までわざわざ写真を撮りに行くより遙かに効率的で楽であることには変わりはありません。

   

ネットから拾ってくるのは?

個人使用だろうが商用だろうが、無断で使用するのはもちろんNGです。

   

ただしその所有者にことわりを入れて許可してもらえば問題ありません。

これは漫画だけではなく、ブログなどに使う場合でも同じで必ず許可を得てください。

   

大抵はOKしてくれますし、NGだったとしても危ない橋を渡り枕を高くして寝られないよりはましです。

   デッサンやクロッキーなどで使う程度ならまず問題ありません。

 

「触らぬ神に祟り無し」

芸能人に似たキャラが描きたい!という人もいるかもしれません。

もちろんその芸能人が許可をくれたら大丈夫ですが、勝手に似せて描くのはNGで、訴えられても文句は言えません。

   

芸能人ではありませんが、以前とある有名な漫画家さんが、ある政治家の顔を漫画に使いました。

その後「似すぎている、出版差し止めだ!」としっかりクレームが入りましたから。

ジャ●ーズ関係も触らぬ神に祟りなしです。

あのネズミの国のキャラも安易に使わないようにしましょう。

   

自分で撮った写真なら大丈夫か?

実はこれ落とし穴がありまして、背景写真を何気なく撮った中に色んな物が映り込んでいる場合があります。

   

例えば行き交う人々なども肖像権があり、リアルに描くとアウトかも知れません。

まぁそこまでリアルに通行人をトレースしたりする人はいないでしょうが、写真をそのまま使うとあり得るわけですね。

(ブログやSNSでUPしたり)

   

あと、企業の看板なども商標権というものがあります。

そのまま使うのではなく名前を変えたりして描きましょう。

   

クドナルドとかだったらクドナルドにするとかw

   

free素材を使おう

著作権もないし、商用利用もいいし自由に加工してもOKという素材があります。

そういうものなら気兼ねする必要が無いのでどんどん活用しましょう。

ただし、有料のと無料のと一部無料とか、色々あるのでそれぞれのサイトの規約はしっかり確認してから使ってください。

  • mapac(無料、著作権フリー・商用利用OK)地図の資料に特化
  • pro.foto(無料、著作権フリー・商用利用OK)
  • pakutaso(無料、著作権フリー・商用利用OK)自衛隊の戦闘ヘリや戦車までありました。
  • ashinari(無料、著作権フリー・商用利用OK)自然物から公共物までカテゴリーが豊富。
  • haikei sozai(有料、著作権フリー・商用利用OK)非常に美しい背景や柄が豊富です。
    全てイラレ形式(ベクター)で拡大しても粗くなりません。
  • pixta(一部無料、著作権フリー・商用利用OK)綺麗な写真が豊富
  • food.foto(無料、著作権フリー・商用利用OK)フード関係ならここは便利です。お腹が空いてきたなw
  • pixabay(無料、著作権フリー・商用利用OK)有名な無料サイトですが、なぜこんなハイクオリティの写真が無料なんだろうと不思議です。ただ、漫画での使いどころは難しいかも知れません。
  • photo-ac(無料、著作権フリー・商用利用OK)私が一番使ってるところです、手軽さがいいです。

背景本

デジタル背景カタログ シリーズ約2900円

Amazonなどで手軽に手に入れられます。

   

結構使わせてもらってます、線画の状態なのでベタやトーン処理の加工はしないといけませんが。

   もちろん他にも沢山ありますから探してみてください。

まとめ

初心者のうちは自分であちこち行って、スマホで十分ですから写真を撮りましょう。

散歩にもなりますし、気分転換にいいです。

アイディアが浮かぶことだってあります。

   

しかし、睡眠時間を削るほど忙しくなってきたら今回の記事を参考にして時短にお役立てください。

そしていつかプロとして活躍するようになったら、担当編集者に頼みましょう。

原稿を落とされたら困るのは編集者も同じですから、一生懸命資料を集めてくれますよ。

 

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