初心者の人でこれから自分も漫画を描いてみたいけど、どうやって描いていいか分からない。
という人はぜひ参考にしてもらえたらと思います。
まず、どうやってストーリーは作るのか?キャラはどうやって作るのか?
本当は自由に描きたいように描くのが一番良いのかもしれませんが、実はそれだとデタラメなレシピで料理を作るのと同じように素材を台無しにして不味いものが出来てしまうわけです。
どんなものにも基本法則はあります、漫画や映画、小説にも面白くするある法則があります。
その法則はやはり基本です。
この基本を簡単にまとめましたので、ぜひ初心者さんは参考にしてみてください。
Contents
漫画のストーリーとキャラを作る8つの方法
一般的な基本:起承転結
起承転結と言う言葉を聞いたことがあると思いますが 物語が展開する場合の基本構成になります。
1:起(最初が肝心)
「プロローグともいいますが、物語の導入部になります。非常に重要な部分になります」
この導入部分での展開次第でその後の話を読んでもらえるかどうかが決まるくらいの重要な部分です。
漫才などで言えば「掴み」、落語で言えば「枕」と同じ意味合いを持ちます。
この「起」の部分で読者の気持ちをガッチリと掴む必要があります。
映画などでもプロローグである程度のインパクトがなければ観客は退屈してしまいます。
私は映画の場合最初の10分で気持ちが入り込めない場合は観るのをやめてしまいます。
娯楽作品は文学作品ではありませんし芸術作品でもありません。
読者や観客をいかに楽しませるかが全てでエンターテイメントになります。
観客側が退屈なのを我慢してまで観なければならないものは、娯楽作品としては失格だと思っています。
ですから私の場合は最初の10分が勝負だと思っています。
漫画だと最初の数ページですね。
基本的には、この導入部で「問題・事件・疑問」など日常からかけ離れた非日常状態から始まることが一般的です。
ここで、読者は「おいおい、これは大変なことじゃないか」などと思ってもらえたらとりあえずは成功です。
2:承
「ここは様々な展開が繰り広げられます。基本的にはストーリーの厚み作りと思ってください」
伏線を張ったり、伏線の為のその他のキャラを出したり、「転」に繋がるための肉付けや準備段階ですね。
ここで注意することは、あまり説明調にならないようにすることです。
キャラも一番沢山出てくるところなので、キャラ紹介でページを消費しがちになりますがバランスが大切です。
<5ページの法則>
承の部分は起よりは、どうしても地味になりがちです、読者は飽きやすいと思ってください。
そこで5ページ(めやす)に1回必ず小さな「インパクト」を打ち出すことです。
5ページ以上淡々とした、起伏の無い展開が続くと読者は飽きてきます。
※(コマの大きさや、シチュエーションなどによるので数字は適宜調整してください)
なのでちょっとした事件なり、アクシデントなり次のページ(6ページ目)をめくりたくなるような起伏のある展開を意識すると、読者は抵抗なくまるで波に乗ったような感じで読み進めてくれます。
3:転
物語上で一番の見せ場となるクライマックス。
描く方も一番乗って描けるところでしょう。
今までの謎や伏線が一本の線に集約されていき様々な謎や事件などが解決する・・・
のかどうかという緊張感がMAXになる展開が繰り広げられます。
さて、読者は「一体コレはどうなるんだー!?」とワクワク、ドキドキしています。
4:結「決着」
今までの問題や事件・謎が一気に決着します。(と思ったら新たな事件や問題がおこり、次号へ続くという連続パターンも)
ここまでが起承転結のワンセットとなります。
図1-1
長編を描く場合もこの基本はそんなには変わりません。
このワンセットを「第1章○○編」というぐあいに組み込んでいけば何年もかかるような長編も描けるようになります。
さらに並行して複数の話を進めたり、各話から枝葉が伸びるように副展開させてもいいでしょう。
なので、壮大なスケールの物語の場合でも大まかな話の流れは先に作れるので5巻先10巻先までを見越してあらかじめ伏線を張れるようになります。
このワンセットを大きな起承転結の一部にしてしまう。
↓ ↓ ↓
図1-2
「帰納法」
これは起承転結の結から描くような方法で、 先にその物語の行き着く最終目的を先に描いてしまい そこから、どのようにしてそこへ辿り着いたかを長い 回想形式で追って行く形になります。
ですが、これは最初から結果をばらすわけですから 使い方に注意が必要です。
明らかに歴史上結果が分かっているものなど、史実をベースに描く場合などは良いでしょう。
ですがタイムトラベルなどが絡む話でしたら、結果は違う方向へ 向かっても良いわけですから帰納法は逆に効果が出るでしょう。
基本の起承転結の中に挟み込むと、凝った構成になりひと味違った見せ方ができます。
色々とアレンジしてみるのも面白いですね、大事なことは 型にはまらない自由な発想だと思います。
ただしタイムトラベル関係では親殺しのパラドックスなどで非常に複雑なことになりかねないので、突っ込まれない程度の整合性を考慮しましょう。
※トランス・ワールド(2013年)という映画があるんですが、これは厳密にはタイムトラベルではありませんが登場人物たちの生存していた時代が違うにもかかわらず、同じ場所に出くわし物語が進展する話で非常に面白い構成なので一度見てみてください。
親殺しのパラドックスを上手く逆手に取った作品です。
あと、これは超有名ですがガチのタイムトラベルものならバック・トゥ・ザ・フューチャーは良く出来てると思います。あまりにも有名すぎてなんとなく敬遠してまだ観ていないという人がいましたらもったいないのでぜひ見ておくことをおすすめします。
できればシリーズ全部見るとどれだけ緻密に計算されているかがわかります。
ただし少しツッコミどころもありますが^^;
「時系列日記」
自分の日常を淡々と時系列にただ描くというのもあります。
例えば体験に基づく特殊なアルバイトの数日間をドキュメント形式に まとめた内容でもリアリティがあり面白いものになる場合があります。
孤独のグルメなどは毎回パターンは同じですよね。
でも、単純な日記でも基本は起承転結がしっかりあります。
物語を大げさに作るのが苦手な人はやってみる価値は十分にあります。
体験形式の漫画は内容によっては結構人気を得やすいのでお勧めです。
堅苦しく考えないで、「日記を漫画でちょっと大げさに面白おかしく描く」ってだけです。
例:山賊物語
<レポート形式>
これも基本は同じですが、ルポライターのような目線で物事を淡々と描きます。
赤羽という街をルポ形式で描いた漫画がヒットしました。
対象は何でも良いのです。
自分が面白いと思うものをであれば素直に描いてみるのもありでしょう。
帰納法アレンジ
帰納法のアレンジバージョン的な展開です、例えばいきなりクライマックスの壮絶なバトルシーンなどから初めて読者の気を引きます。
で、普通に起承転結の「起」を入れて初めます。
これに近いのが、「リ:ゼロから始める異世界~」などです。主人公はいきなり殺されるシーンから始まります。
描きたいシーンから考える
話が上手く思いつかない場合は、何でも良いので自分が描きたいカットやシーンをとりあえず描いてみます。
数カット描いてみてそれぞれをなんとなくでいいので組み合わせていきます。
そこから発想を展開させていくというやり方もありです。
とりあえず好きなシーンをイラストのように描くことで、発想を広げることも出来ます。
キャラ設定・キャラの作り方
キャラを作るのは人によって様々です。ですがやはり基本はあります。
こういう事を聞いたことがあるでしょうか?「キャラが勝手に一人歩きし始めた!」
どいうことかと言うと物語が展開し始めると、最初に設定していたキャラがその性格を元にどう判断しどう行動するか?
というのがとくに作者が考えなくても、自然とキャラが勝手に判断し行動し始めるということです。
ある意味作者自身がキャラの中に入り込んでいる状態です、役者が役を演じるのと同じようにその役柄になりきってしまうわけです。
ただし、先にキャラ設定がしっかり決まっている場合に限ってですが。
1:キャラを先に作る
誰でもキャラを何人も描いてるでしょうが、ほとんどの人は魂が入っていません。
大抵は今時の似たようなキャラです。これはキャラに命を吹き込む設定が甘いからです。
では、どのようにしてキャラに命を吹き込むか?
人間と同じ扱いをすればいいんです。
- 名前
- 年齢
- 性別
- 出身地
- 出身校
- 家族構成(兄妹・兄弟、親、祖母、親戚、遠い親戚等)
- 体重、身長、体型、肌の色、髪型、目の色(外観)
- 性格
- コンプレックス
- 趣味
- 得意なこと
- 苦手なこと
- 異性に対する好みタイプは?
- 成績は?(得意な科目、苦手な科目)
- ファッションセンス
- 食べものの好き嫌い
- 友達はいるか?
- 特殊能力(後に覚醒するか?)
- クセ
・・・・等
この様に一人の生きた人間としてキャラ設定していきます。
魂を入れてあげる作業と言って良いでしょう。
もちろんキャラが動物・妖精・魔物・宇宙人・・・何であろうが同じです。
キャラに深みがあると読者は共感しやすくなります。
例えばキャラが魚嫌いという設定であれば魚嫌いな読者からは少なくともその点については共感を得られます。
<アイテム>
バトルものであれば何かに特化した武器アイテムを持たせるのは定番となっています。
とくに多いのが見た目にカッコいい「刀」です。
よく使われる武器の一つですね。
外国人から見ても刀は魅力的なアイテムです。
ブルース・リーなどのヌンチャクは有名ですし、ブラックラグーンなどはツーハンドで二丁拳銃、ゴルゴ13は葉巻とM16、花の慶次はキセル、ルフィーは麦わら帽子(武器では無いですが)と伸びる腕この様に何かしらのアイテム(特技)を持たせる事は大事です。
<全てに意味を持たせる>
- そのアイテムはなぜ何のために持たせるのか?
- そのアイテムが無ければどうなるのか?
- そのアイテムがあることでキャラはどうなるのか?
- アイテムの謎やそれにまつわる噂や伝説など・・・
とにかくただカッコいいからではなく、キャラにとって重みのある意味を持たせることでさらにキャラが活きてきます。
<個性>
どのパラメーターを伸ばすかまたは下げるかでキャラの個性が際立ってきます。
キャラは複数人いるはずですが、どれも似たような性格だとつまらないものになりますが、あえて奇をてらって、全く同じキャラ設定とかあってもストーリーや設定次第では面白いものになるかも知れません。
クローンや双子や三つ子などならあり得そうです。
映画オブリビオンではトム・クルーズがクローンでした。
個性的なキャラが完成したら、想像してみましょう。
もしそのキャラが、自分が通ってる塾講師の先生だったら?
腹違いの兄弟で、法事のときばったりあったら?
好きな先輩の兄だったら?
こんなキャラが自衛隊に入隊したらどうなるんだろう?
吉本に入ったらどうなるんだろう?
という具合にどんどん想像して頭の中で自由に動かしてみてください。
2、ストーリーから作る
例えば何かしらの大まかなストーリーや構想がもともとあった場合そこへどんなキャラだったら合うだろうか?
とストーリーありきでキャラを作る場合があります。
音楽の世界でも、曲から先に作る人と詩から先に作る人がいるように自分のやりやすい方法で作りましょう。
ストーリーが先の場合キャラはある程度そのストーリーのカラーに合わす必要があります。
が、基本は同じで先ほどと同じように性格付けなどをしていきます。
ただし、当然ですがストーリーに沿ってです。
絵が決まっていない場合、まずはラフでネームを入れて行きます。
無意識でラフでをどんどん描いていくうちに、何となくキャラが浮かび上がってきます。
通常はこの様なそっけなく丸描いて線だけという作家さんが多いです。
図2-1
プロの場合はすでにキャラが固まっているのでこの様に丸描いて十字線くらいで済ませます。
図2-2
初心者さんは、ある程度までキャラを入れることを意識してネームのラフを描いていきます。
あなた本来のキャラが10枚20枚~と入れているうちに不思議ですが浮き上がってきます。
そこから人相や外観をハッキリ決めていきます。
このキャラに同じように魂を入れていきます。
まとめ
- 基本は長編だろうと短編だろうと「起承転結」が基本
- 「帰納法」はやりようでは、面白くなる
- キャラは魂を入れてあげる
- ストーリーありきからキャラを作る場合は、ラフでいいので無意識にキャラを浮かび上がらせる
なかなか難しそうですが、100枚200枚と自分の作品を作っていくうちに必ず慣れてきます。
数をこなすしか近道はありません、頑張ってください。
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